クビシメロマンチスト

すべてが覚束なくて自分の尻尾をひたすら追い回す猫のように旋回する。やりたいことなのに優先順位をつけなきゃいけないなんて可笑しな話だ。

実家に帰った。

長い時間電車に揺られるのが嬉しいから。

数日遅れで誕生日を祝ってもらった。

 

「何かご希望は?」

「同窓会の電話が来たら拒否して。私の連絡先一切教えないで」

「手紙も捨てる」

 

伽藍洞の自室に籠もる。自室と言っても昔の作りの家なので大広間だったところを襖で区切って母と使っている。

パーソナルを剥奪されたスペースで、600ページのハードカバーを捲る。

机と棚(教科書をしまっていた)、もう1個3×3の棚(趣味関係はここ)生まれたときからある箪笥にラック。

どれもワタシの内蔵がない。数年かけて嘔吐したから。今回もオーバードーズした。不燃物を無理やり吐き出して、それでもまた何か忘れているんじゃないかって思って怖くなって虚無に刃物を突き立てて。

ここにはもう何もない。