生者と死者の確かな隙間

録画を頼んでいた音楽番組を無言で見る。深夜2時。起きてしまったから仕方がない。本当は煙草を吸いたかったけど、煙草を取りにまた部屋に戻らなくちゃいけないし、その部屋は昔の家特有の大広間を半分にして母親と共有しているため物音で起きられもしたら、面倒なので諦めた。

信号を渡ればすぐコンビニがあるから買ってもいいけど、そんな気分ではなかったのでアパートまでお預け。1日の禁煙ならギリ耐えられる。ちなみに親は私が喫煙者であることを知らない。

目当てのバンドのパフォーマンスが終わる。これは別撮りか他の会場で歌ったのだろう。間髪入れず番組を削除する。そのバンド以外の出演者は見ない。誰がでているかさえも分からないし知ろうともしない。

親の目の前ではそのバンドの映像を見たくなかった。1人だった私の学生時代を支えてくれたし、ライブも何度か行き感動したけど、心から好きになれない。親が彼らのアー写を見る度「このおかしいの(もしくは"気持ち悪いの")」と言うから。いつからか支えよりもそのバンドを推すことで親から距離を置かれることを臨んでいたのかもしれない。

見終わっても3時になるかならないかという絶妙な時間帯である。また寝てもいいけど、寝たくなかった。居間の棚を漁る。昔の写真が出てくる。ここにあるのは小学生低学年くらいの頃で場所は病院か学校のイベントが多い。後者の写真、勝手に捨てたらバレるかな。これさえ捨てれば完璧なのに。帰る度その事で頭が一杯になる。約2年かけて自室の学生時代のもの全部を捨てた。ノートや手帳卒業アルバムから使っていた文房具に至るまで。シャー芯も一本残らず捨てた。それなのにまだなにか残ってるような違和感が残っていて謎の気持ち悪さが蠢いていた。その状態がこの、公ではない個人で撮られた写真だった。

悶々とする原因はこれだけじゃない。

私は先月転職した。転職と言ってもバイトだが時給は前と対して変わらない。それも言わず3日間過ごした。話しても問題ないけど言わなかったのは、諸々遡って説明するのが面倒だし、誰にも話してない自分のプライドの為でもある。

親戚や親にも人間不信起こしてるから、自衛で話さなかったんだろう。

いいんだけどね。言っても。1人っ子だから素直に言えば援助してくれるだろうし。けどそれじゃあ自分を守りきれないし、家を出た意味がなくなる。

その結果なのかわからないけど、反動が大きい。予想以上に負荷が大きくて謎に疲れている。1人暮らしだから家事も全部自分、保険料も払わなくちゃいけないからその手続きするけど、手帳持ってる意味あった?って呟いた。