夢にまた、あいつらが出てきた、何回も出てきたということは俺だけでなくあちらも未練があるというのだろうか。1人出てくる人は違ったけど、その人も覚えがある。
個人的な未練というより、共有して過ごした時間そのものに共通した未練があって、集っているのかもしれない。
その人たちとは中学を境によくある流れで分裂したけど、俺は特殊な方法で離れた。
好きや嫌いを伝えることなく。
今日は恋人と俺の足跡をなぞった。
知らない窓があって、時間を飲みすぎた扉が佇み、新しかった筈の建物を見上げた。
ただの団地と思ってたあの団地に住んでいた同窓生を思い出しだけど、記憶は上書かない。
瀕死の桜並木を歩いた。
蕾だったものは色彩を失い、根本には鮮やかな草が茂っていて、モンシロチョウが気流を掴んでいた。
絶妙に不便で、アンバランスな地形をしている。
ほどよい速度で廃れゆく、この町を、俺は。