睡脈と凪

朝は来るのか私が跨ぐのかたまにわからなくなる。ひどく低い音。

うだるような冬。冬だからしっとり沈みゆく。

振り子のように打つ温度に寄り添っていたけど、私はまだ影響はないらしい。時差だろうけど、何日息を潜めればいいんだろう?

久々にひとり、呆然と、そして静かに目を閉じて。

これは進化の予兆、小さな世界が入り混じった境界で出会い互いの背の大きさに戦きあっている、だから書かなきゃ、創らなきゃ

そういえば、祖父も”創る人”だった。正確に真っすぐ目の前のものと向き合って、そして静かに仕上げる人だったらしい。私は”祖父”の姿しか知らない。”父”の姿も”夫”の姿、”1個人”の姿も知りたかったし、どの姿で出会っても好きになっていた。

この電子の海を目の当たりにせず凛と句読点を打つことができて羨ましい。

川より山が落ち着くのは祖父の影響だと今になって気づく。耳をすませば流れてくる葉の擦れる音、野鳥の交信、風の唸り、言葉の暴力なんて聞かなくていい。好きなものだけ見つめていられる、あの温かい場所に。