形骸記憶匿名酒飲

流線を描く青を眺めながら「何を解放するか」と考える。もうあの匣は空に等しいというのに。内臓も全て抜き出して唯一残したアイデンティティだけで成り立たせているのに。これ以上手を出すとしたら犯すしかない。最後まで丁寧にしないと。なんてドメスティックな空想にふけ、この猟奇的な空想が不要になるまで必要な時間を計算する。順当にいっても1年はかかるだろう。

今回の往復で返却作業が済んだ。細々したものはあるがそちらは自分で処理するとして。趣味でなかったよくわからんブランドのコートを物に溢れたクローゼットに辷り込ませた。これですべて。

既に上着だけで収納を圧迫していた。我が家の狭さと私のフットワークの重さを認識していない証拠。家系特有の性格が年々露出されてきた。

収集趣味は続かない。漫画やシリーズ物は出来るけど、それ以外は想像できない。だってその作品に飽きたらどうするの?すべてがエヴァンゲリオンのような世界を人生を揺るがすものではないというのに。何より逃げたいときに素早く逃げれないのが一番辛い。それは生物に対しても同じで、嫌いになるまで居てくれでいいのになりゆきで呪い合うのは生存本能からであろうか?

好きな作家。残りは絵本と翻訳シリーズだが正直集めるのに飽きた。

久々の地上波放送。田舎特有のお節介と皆無な距離感に吐き気を催す。チアリーディングの全国大会ハイライトではコピペされた笑顔を貼り付け気力の延命措置を行う若人に悪寒を覚える。怖いじゃなくて無理。見たくない。画面の奥の赤の他人でさえこの反応。

もう小指を絡ませることが出来ない。

時代を彩った歌姫。姫の指南書を音階に乗せる姿。「公共電波を使い永遠に自立しない表明する儀式」

 

今の状態で田舎へ行ったらたちまち猛禽類さながらに鋭い眼光を迸らせ重い扉を幾重にも閉める。

縁を根刮ぎ燃やし切れるのなら私は通過儀礼を踏みにじる。それが解になるから。